現代の事業開発、特にIT分野においてプロジェクトマネージャー（PjM）とプロダクトマネージャー（PdM）は共に重要な役割を担う。しかし、両者の名称は類似しているものの、その責務と権限、そして目的は根本的に異なる。
プロジェクトマネージャーは、定められた目標、予算、納期を守り、プロジェクトを計画通りに完遂させることが職責だ。リソースの配分、進捗管理、課題解決、関係者との調整など、プロジェクトの「遂行」に関する全責任を負う。そのため、高い管理能力とリスク対応力、そして確実な実行力がその資質として求められる。プロジェクトを計画通りに完了させることが、PjMの明確な目的だ。
対してプロダクトマネージャーは、市場と顧客が求める「価値」を定義し、プロダクトの事業的成功を実現することを主な職責とする。市場調査やユーザー分析を通じて「何を、なぜ作るべきか」というプロダントのビジョンと戦略を策定し、開発の優先順位を決定するのだ。鋭い市場洞察力とデータに基づいた意思決定能力、そしてビジョンを組織全体に浸透させるリーダーシップが必要だ。プロダクトが市場で成功を収めること、それがPdMの目的である。
プロダクトの事業的成功という共通の目標に対し、プロダクトマネージャーは価値の「定義」を、プロジェクトマネージャーは計画の「遂行」を担うことで貢献する。この二つの職能の分化は、近年のビジネス環境の変化を色濃く反映した結果だ。市場の不確実性が増大する中で「何を作るべきか」を決定する戦略機能の重要性が高まる一方、開発手法の高度化に伴い、計画を遅滞なく実行する管理機能もまた不可欠となった。つまり両者の存在は、企業が市場での競争優位性と内部のオペレーション効率という二つの課題に、同時に対応するための必然的な組織構造なのである。